ELD JOURNAL

【住宅】住まいの内と外

#074

ELDが手掛ける住宅において、庭や外空間は単なる建物の「余白」ではなく、住空間の機能を拡張させる重要な要素です。日々の暮らしの中に自然な形で「外」を取り込むために、3つの視点を大切にしています。

 

1. プライバシーと開放感の調和:閉じて開く中庭の役割

住宅密集地などの周囲の視線が気になる環境においても、「中庭」という手法を用いることで、プライバシーの確保と開放感の両立を実現します。 「児島の家」や、「hygge / RYOBI HOMES」「関の家」では、建物の中心に中庭を配置することで、外部からの視線を遮りながら、室内へ豊かな光と風を導き入れています。これにより、住人はカーテンを閉め切ることなく、リビングにいながらにして季節の移ろいを感じ、「外と繋がる自由」を享受できるのです。
2. コミュニケーションを育む装置:現代に息づく「縁側」の再解釈

私たちは、日本の伝統的な「縁側」を、家族や地域との絆を深めるための現代的なコミュニケーション装置として再定義しています。 「K HOUSE」では、リビングを囲むように深い軒を持つ縁側を設け、家族の団欒や近隣の方との語らいの場として提案しました。また、「福田の家」のように、LDKから続くウッドデッキを縁台のように設けることで、外と内が曖昧に繋がり、家族が自然と集まる開放的な空間が生まれます。庭は単に眺めるものではなく、人が集い、活動するための舞台なのです。
3. 風景の取り込みと自然との共生:借景がもたらす「森の記憶」

ELDの庭づくりは、敷地の外に広がる豊かな自然とも呼応します。私たちは、周囲の風景を室内に切り取る「借景」を大切にしています。 「丘をのぞむ家」では、大開口の窓(ピクチャーウィンドウ)を通じて、近隣の古墳や田園風景を日常の景色として取り込みました。このように地域の自然を暮らしの一部とすることで、ELDが理想とする「森の記憶を、暮らしの中に感じられる住まいが完成します。テラスを一段上げるなどの繊細な設計により、通行人の視線を避けつつ、風景の中に溶け込むような寛ぎを提供しています。
ELDにとっての庭とは、建物と自然、そして人と社会を緩やかに繋ぐ境界線です。それぞれの土地が持つ個性を活かし、住まう人のプライバシーを守りながらも、常に外への広がりを感じられる、そんな暮らしを、私たちはこれからも提案し続けていきます。

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