【建築】暮らしと共に育つ家 02
#047 「子どもの帰る場所」として家を建てようと考えたのが3年前。家主夫婦のリクエストは「家族が集まるリビング」と「ヘリンボーンの床」だった。完成した住まいは、LDKを中心としたこだわりが随所に散りばめられている。
水場と一体化したダイニングテーブルは、家族の密な距離を保つ愛着のある空間。なかでもブラックチェリー材を使ったキッチンは、この3年という月日のなかで驚くほど表情を変えた。当初の明るく柔らかな木肌は、いまや深く、艶やかな飴色へと熟成し、ステンレスの無機質な輝きや白いタイルとのコントラストをいっそう際立たせている。その豊かな色の深まりに、家主は「経年変化がいい意味で予想外だった。これからがますます楽しみ」と目を細める。
入り口の回転扉、2階への螺旋階段、琉球畳の和室など、こだわりはLDKの他にも。「子供が大きくなったので、これからはインテリアにも拘りたい」と語る家主。家とは単なる「居住する建物」という枠を超え、家族が戻るべき「心の拠り所」の象徴だ。
年月とともに木肌が味わいを深め、家族の成長と共に成熟していくこの家は、これからも思い出を静かに積み重ね、優しく迎え入れる場所としてそこに佇み続けていくだろう。