ELD JOURNAL

【TOWER COFFEE ‘S STORY #2】

#048

大学に入って初めてできた彼女との、3回目のデート。
場所は、少し大人びた空気の流れるTOWER COFFEEだ。
内心、僕は少しだけ身構えていた。
「また、おしゃれなサンドイッチをそっと食べる時間かな……」
空腹の大学生にとって、カフェ飯は時として少し物足りない。

けれど、彼女の前でガツガツ食べるのも無粋な気がして、

いつも「お腹、そんなに空いてないから」なんて嘘をついてしまう。
だが、メニューを開いた瞬間に目が釘付けになった。
「ミラノ風ポークカツレツ」
……トンカツだ。いや、ポークカツレツだ。
国産豚ロースを贅沢に使った、ボリュームたっぷりの一皿。
「ガッツリいきたい、でもデートの雰囲気を壊したくない」
そんな僕の葛藤を、このメニューが見事に解決してくれた。
自分ルール、発動。
鮮やかな「トマトソース」がかかっている。
仕上げには熟成された「パルミジャーノ・レッジャーノ」が舞っている。
よし。これは単なるトンカツではない。

イタリアの風を感じる洗練された料理だ。大衆感は払拭されている。セーフ。
僕は意を決して、それを注文した。
運ばれてきたカツレツにナイフを入れる。サクッという心地よい音。

トマトソースの程よい酸味と、チーズの芳醇な香りが口の中に広がる。

思わず言葉を忘れ、僕は黙々と食べ進めてしまった。
ふと顔を上げると、向かいの席でケーキと紅茶を楽しんでいた彼女が、

僕をじっと見て微笑んでいた。
「……あ、ごめん。食べすぎたかな?」
僕が少し照れくさそうに言うと、彼女はいたずらっぽく笑って言った。
「ううん。すごく美味しそうに食べるんだね。……次は、私もポークカツにしようかな。」
その一言で、張り詰めていた僕の緊張がふわりと解けた。
飾らない自分を見せてもいいんだと、少しだけお互いの距離が近づいた気がした。
TOWER COFFEEのミラノ風カツレツ。
それは、お腹を満たすだけでなく、少し背伸びした僕たちの心を優しく繋いでくれる一皿だった。

TOWER COFFEE

  • 岡山県岡山市北区横井上20-3
    086-259-1291