食空間を通し、現代らしい日本文化の有り様を提案してきたデザイナー緒方慎一郎氏が代表を務める「SIMPLICITY」が、「福岡醤油ギャラリー」の昭和棟に、『茶を通して世界とつながり、茶の発展に貢献していく』を大義とする茶方薈(さぼえ)の日本茶専門店【SABOE OKAYAMA】をオープン。今回は施工という形で携わることとなった。まず、空間のイメージを共有するため、SIMPLICITYが展開する八雲茶寮を視察。仕上げや納まりを入念に確認した。後日度重なる打ち合わせが行われ、そこで発せられた「漆喰やモルタル、木に小さなクラックができるのは良い」「既存のものは可能な限り生かしながらも、新たな構造体は新しいまま組む」といった「ありのまま(然)」を見せる考えに、空間デザインに対する考えがさらに深まった。施工に関しては仕上がりのイメージが共有できるよう、サンプル作りから入念に確認作業を行なった。納まりにおいても施工図をもとに現場の職人たちと綿密なコミュニケーションをとりながらイメージを共有していった。「伝統を」大切にしたい福岡醤油ギャラリーとSIMPLICITYの思いが重なった空間で、お茶の味や文化、情緒を楽しんでいただきたい。