ELD JOURNAL

【TOWER COFFEE’S STORY】気まぐれストロベリーロード

#058
僕の名はゴダイアタル。一刻ほうれん荘に住む大学生だ。

今日こそは憧れの女性、管理人であるキョウコさんを、新しくなった「タワーコーヒー」へ誘おうと決めていた。

「あの、キョウコさ……」

震える声で喉まで出かかった言葉は、背後から響いた元気な声にかき消された。

「新しいタワーコーヒーに行くっちゃよ!」

隣の部屋に住む女子高生、ヒバリだ。結局、僕の淡い期待はどこへやら、彼女に腕を引かれるまま店へと連れてこられてしまった。

「期間限定の苺パフェ、食べるっちゃよ!」

席に着くなり、ヒバリが迷わずオーダーしたのは、今だけの特別な一皿だった。

運ばれてきたグラスを見て、僕は思わず息を呑んだ。

そこには、真っ赤な苺と真っ白なミルクが織りなす、完璧に計算された美しい層が描かれていた。

旬の苺を、安富牧場の濃厚なアイスとやさしい牛乳プリンで包み込んだ逸品。

スプーンを深く入れると、中から艶やかな真っ赤な苺のコンポートが姿を現す。

驚くべきは、隠し味のクミンだ。

その微かなスパイシーさが、苺の甘みをキリッと引き締め、不思議なほど見事に調和している。

「これ、すごく美味しいっちゃ!」

頬張るヒバリの横で僕も一口。甘さと香りが重なりつつも、後味は驚くほどスッキリとしている。

まさに、洗練された「大人のパフェ」だ。

「キョウコさんとのデートにぴったりだったのになぁ……」

そんな後悔も、この美味しさを前にすると少しずつ溶けていく。

これも一つの良い予習だと自分に言い聞かせ、僕たちはタワーコーヒーを後にした。

帰り道、不意に腕に柔らかな感触が走る。

「また来るっちゃよ」

悪戯っぽく笑うヒバリに腕を絡められ、「お、おう」と答えるのが精一杯。

ま、たまにはこんな春の日も、いっか。

TOWER COFFEE

  • はじまりは、スタッフのための「社員食堂」。 地元の食材を使った、健やかな献立。 手に馴染む器、アート、本、そして香り高いコーヒー。 それらが重なり合うことで生まれる、誰にでも開かれた心地よい場所。